第7話


ラインには190センチはあろうかの長身の選手が立っている。

「ミウナちゃん・・・・」
「梨華ちゃん、知ってるの?」
安倍が石川に尋ねる。

「同じチームでプレイしてます。現在リーグの得点王です」
「そんな選手隠してたんだ」

「ミウナ頼むよ」
「はい、任せて下さい」

イングランドのスローインで試合再開。
ミカがロングスローでゴール前に一気に放り込む。
そのボールに、入ったばかりのミウナが飛び込む。

「まずい、里田、大谷、飛んで!!」
麻美が咄嗟に指示を飛ばす。
「「はい」」

空中で3人がぶつかる。
「うわぁ」
「わっ」
里田、大谷ともに弾き飛ばされる。

しかし、高橋がパンチングにいっている。
「これ以上、いれさせない」

バキィィィィィ

ほぼ同時に激突。
「うおりゃあああああ」
ミウナが強引に押し込む。
高橋が飛ばされる。
「高橋!!」

「いけぇ、これで、勝ち越しの2点目」
「よし、ミウナ」

ボールは無人のゴールに飛んで行く。

「でやぁぁ、いれさせない」
紺野が横っ飛びヘッドで懸命にクリア。
「ナイスクリアです、紺野さん」

しかし、ボールはミカの前に転がる。
「いけぇ」
ミカが角度がないながらも果敢にシュート。

グイ
倒れている紺野が必死に上半身を起こす。
「ダメ、届かない」

「でや〜〜」
懸命にもどってきた高橋が横っ飛びでキャッチ。
「ふう、なんとかふせげた」

ピィピィピーーーーー


前半終了を告げる笛がなる。


「せめて、もう1点ほしかったわね、ミカ」
「アヤカ。あのキーパーなかなか手ごわいわよ。
 後半は、ミウナにボール集めていくからね。」
「任せて下さい」


「やっぱり強いですね、イングランド」
「麻美ちゃん・・・ ほんと同点で折り返せてよかったべ」
「安倍さんがそんな弱気でどうするんですか。後半がんがんいきましょう」
「梨華ちゃん・・・」

「愛ちゃん、手大丈夫?さっき、激突した時・・・」
「あさ美ちゃん・・ 大丈夫よ、これくらい。皆には黙っててね。」
「愛ちゃん・・・・」

「ミカを中心に、いい守りしてますね。」
「ああ、守りだけかと思ってたら、あんな攻撃サッカーもしてくるなんて」
「私たちフォワード前半まったく出番なしでしですもん」

「皆、後半は何としても加護にボール回すよ。加護頼むよ。」
「任せなさい、この加護ちゃんに」
「よし、後半一気に勝負かけるよ」
「「「「「「はい」」」」」」


イングランドのキックオフで後半開始。

ボールはいったん後方のミカに戻る。
「よし」
ミカが勢いよく前方のミウナにパスを出す。

「ここは私が」
石川が競り合いにに行く。
しかし、石川は届かない。
ミウナが頭で絶妙のトラップ。
「まずは、1点いただきます」
落ちてくるボールをそのままロングシュートにいく。

勢いよくボールは日本ゴールに一直線。

バキィ

「ぐわぁ」
高橋が何とか両手でパンチング。
(なんて、重いシュートなの。こんなの何本も食らってたら手がもたない)

「なにい、しつこいキーパーね。今度はその両手フッ飛ばしてゴールしてやるわ」
「つぶせるもんなら、つぶしてみんしゃい」

バム

こぼれ球を、ゴール前までもどった安倍がおさえた。
「高橋の両腕は私たちフィールドプレーヤーで守りぬく」
ボールを力強く押さえつけ叫んだ。
「高橋、両腕は大丈夫?前半激突した時、痛めてるんでしょ」
「安倍さん、気付いていたんですか。何とか大丈夫です。でもあのシュートくらい続けたら・・・」

「攻撃サッカーには、攻撃サッカーあるのみ。いくぞイングランド!!」
安倍が単独ドリブルで攻めあがる。

(あの目は安倍さんが全力でゴールを狙いにいく目だ。
 ここまで、安倍さんはごとー達にあわせたプレイをしていた気がする。
 でも、今は全力で自ら向かっていっている。よし、ごとーも全力でフォローしなくちゃ)

安倍が一気にかけあがる。
後藤も後ろに続く。

「ミウナ勝負!」
「抜かせないわ」
安倍はすばやいフェイント左右に揺さぶる。
「くそ」
ミウナは足を懸命に伸ばすが、届かない。
安倍がミウナの左を一気に抜いていく。

ミウナを抜いた安倍は、そのまま単独ドリブルで中央突破。
そしてその前にミカが立ちはだかる。

「行くぞ、ミカ」
安倍はボールを蹴り上げミカの頭上を通す。
「あまいぞ。安倍なつみ!!」
ミカがすばやくオーバーヘッドでブロック。

バキ

「なにぃ」
そのブロックを読んでいたかのごとく、後藤がジャンピングボレーで奪い返した。
「ナイスフォロー、ごっちん」
「あとは頼みます。安倍さん」
後藤は倒れながらも前方を走る安倍にパスを出す。

(あとは頼むぞ、加護)

「それ」
前方横に大きくパスを出す。

「よし。」
そのボールに藤本が走り込む。

「よこいなことしないで、みきてぃ。そのボールはワイのや」
「えっ」

「わっ」
なんとか藤本がスルー。

「ナイスパス。安倍さん」
「くらえ〜〜〜〜」
加護がダイレクトでイングランドゴールにけり込む。

「しまった、奴がノーマークだった」

「でや〜〜」
アヤカが懸命に飛ぶも届かない。

ピィィィィィィィー

日本ついに1点勝ち越し。




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