第5話


日本のキックオフで試合開始。
センタサークルには、安倍と後藤が立つ。

ピィィィィィィィ

「いくよ。ごっちん」
「うん」

安倍が後藤にパスをちょこっと出す。
と同時に、イングランドは、早くも中盤でプレッシャーをかけにいく。
「なっち」
後藤がパスを出す。
”サッ”
安倍はスルー。
その位置には石川が走り込んできていた。
「ナイススルーです。安倍さん」
石川がそのままドリブルで上がる。
『あいぼんがフリー』
石川は大きく前線の、加護にパスを出した。
「ナイスパス、梨華ちゃん」

ピィィィィィィィ
審判の笛が鳴った。
「なにぃ」
副審の旗が上がっていた。
イングランドのオフサイドトラップ

『そう簡単には、いかないよ』
リベロ・ミカの指示での、一糸乱れぬバックラインのあがり。

イングランドボールで試合再開。
「作戦とおりいくよ」
ミカがイレブンに指示を出す。

イングランドは攻めずにボールを回す。
「引き分け狙いか」
「いくよ。みきてぃ」
「はい」
痺れを切らした、石川と藤本がプレッシャーをかけ、ボールを取りにいく。
そのプレッシャーに負けたのか、相手MFがパスミス。
「よし」
安倍がパスカット。
「ナイスプレッシャーだよ。梨華ちゃん、みきてぃ」
「いくよ、ごっちん」
「なっち」
安倍と後藤が一気に駆け上がる。
見事なワンツーで抜いていく。

「このときを待ってたのよ」
ミカが、後藤から安倍に戻るパスを、コースを予想していたかのように見事にカット。
「よし」
ミカが掛け声と共に、一気にオーバーラップ。
不意をつかれた日本は戻りきれない。
「私が止める」
大谷が鋭いタックル。
しかし、止めれない。
残すは、麻美1人。
「ここは、通すわけにはいかないよ」
「通してもらうわ」
しかし、右左と揺さぶられ、抜かれる。

高橋とミカの1対1。
ミカが右足で鋭いミドルシュート。
「でや〜〜」
高橋は、横っ飛び一番で何とかはじく。
しかし、不運な事にはじかれたボールは、ミカの足元にころがる。
「もらったわ」
ミカが軽く流し込んだ。

(すべて読まれてたべさ。梨華ちゃんと、みきてぃのプレスでなっちがボール奪う事、
 その位置から、ごっちんと攻めることも。そして、高橋がはじくことしかできない絶妙なシュートコース
 やられたべ)

「くそ〜〜、中澤さんならとめてたかなぁ」
「こら、高橋くよくよしない。取られたらとりかえすべさ」
「さあ、気を取りなおしていこうよ」
「よし、美貴がこの足ですぐかえしてあげるわ」
「さあ、いくべさ」
「「「「「「「おう」」」」」」」」

1点のビハインドを何とか挽回しようと試みるが、
イングランドはボールを奪ってもなかなか攻めない

「いかんなぁ。安倍を起点とした攻撃の形がつくれてへん」
「それに、振り回されている分こちらのほうがスタミナはロスしてます」
「なんとかならんか」
つんくと夏は、ベンチでピッチの選手たちを心配そうに見つめている。

(くそっ、私が動き回ってボールを取り、安倍さんにつなげる)

石川が果敢に動き回り、相手にプレッシャーを掛けに行く。
たまらずイングランドはバックパスで最後尾のミカに戻す。

「勝負する?お嬢ちゃん」
ミカが石川を兆発する。
「くそ、なめないでよね」
石川が果敢にアタックをかける。
「無理するな。梨華ちゃん」

ガキッ ピィィィッ

石川のチャージはバックチャージを取られてしまった。
しかも、審判が石川に向け、イエローカードをかざす。

「そんなぁ、あれはわざとじゃないわよ。イエローなんてないよぉ」
石川が審判に詰め寄る。
「おちついて梨華ちゃん。2枚目もらって退場になちゃう」
安倍が石川を抱きかかえ止めに入った。
「すみません、安倍さん」

(これでしつこい動きをしていたお嬢ちゃんの動きも弱まるわ)

その後は、ミカの予測通り石川の動きは明らかに少なくなった。
それはますます日本の苦しい試合展開を物語るものとなった。




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