第1話


20XX年6月。代表発表日。
この年初めて、日本でインターナショナルカップが開催される。
日本は開催国特権で予選は免除される。
したがって、各国が予選を戦っていた間、何試合かは親善試合が行われたが、
その都度、メンバーが替わっていた。
よって、今日の発表まで誰が選ばれるかは、海外で活躍する4人を除いてはまったく解らなかった。

午後3時、会見場に日本代表監督を務める、つんくと
コーチの夏まゆみが入ってきた。
「それでは代表22人を発表します」
つんくが右手に持った紙を見ながら口を開いた。

「まずGK」
「中澤裕子 ドイツ・バイエルン 背番号1」
「高橋愛 京都パープルサンガ 背番号22」
「以上2名」

「次にDF」
「里田まい コンサドーレ札幌 背番号6」
「木村麻美 コンサドーレ札幌 背番号5」
「大谷雅恵 コンサドーレ札幌 背番号7」
「紺野あさ美 コンサドーレ札幌 背番号4」
「保田圭 柏レイソル 背番号13」
「新垣里沙 横浜Fマリノス 背番号14」
「小川麻琴 アルビレックス新潟 背番号17」
「以上7名」

「次にMF」
「安倍なつみ ブラジル・パルメイラス 背番号10」
「後藤真希 イタリア・インテル 背番号20」
「飯田圭織 フランス・パリSG 背番号11」
「吉澤ひとみ 浦和レッズ 背番号12」
「矢口真里 横浜Fマリノス 背番号15」
「齋藤瞳 アルビレックス新潟 背番号16」
「村田めぐみ べガルタ仙台 背番号3」
「石川梨華 イタリア・ACミラン 背番号2」
「以上8名」

「最後にFW」
「加護亜依 ガンバ大阪 背番号9」
「辻希美 FC東京 背番号18」
「松浦亜弥 ヴィッセル神戸 背番号8」
「柴田あゆみ 横浜Fマリノス 背番号21」
「藤本美貴 コンサドーレ札幌 背番号19」
「以上5名」

「以上の22名です。質問のある方はいますか」
「はい」
記者の1人が手をあげた。
「どうぞ」
「MFの石川梨華、ミラン所属とおシャイましたが聞いた事のない選手ですが」
「プリマヴェーラの選手です。まだトップチームの試合には出たことがありませんがね」
「そんな選手を選んで大丈夫なのですか」
「日本の秘密兵器になるでしょう。そのうち解りますよ」
つんくは笑って答えた。
「では、これで発表会見を終わらせていただきます」
と司会者が言うと、つんくはささっと退場してしまった。


ここで発表会見前まで、少し時間をさかのぼってみよう。


<コンサドーレ札幌宿舎>

宿舎のロビーでは、選手たちがテレビの前に集まっている。
「せんぱ〜〜い、発表始まりますよ」
テレビを見ている藤本が練習場にいる
先輩たち4人を呼んだ。
紺野、大谷、里田、麻美の4人は走って戻ってきた。
「どれどれ」
大谷が覗き込む。
「私は選ばれるのでしょうか」
紺野が不安一杯の顔で言う。
「大丈夫ですよ。うちはJ1最下位ですけれども、失点はリーグ最小。
 北氷の壁といわれているDF4人集じゃないですか、4人とも選ばれますよ」
藤本が笑顔で紺野に言った。

コンサドーレは前半戦を終わって4勝11敗で最下位。
でも失点は15試合でわずか4。完封試合は11を数える。
でも、完封した試合はこちらも完封され、全部PK負けという運のなさである。
失点した試合は、FW藤本が爆発し4試合とも5点以上とっての快勝である。

そんな話をしているとテレビでは発表が始まった。
『「それでは代表22人を発表します」

 「まずGK」
 「中澤裕子 ドイツ・バイエルン 背番号1」
 「高橋愛 京都パープルサンガ 背番号22」
 「以上2名」』

「おお、あのルーキーキーパー選ばれやがった」
大谷が驚いた顔で言った。
「いよいよですよ」
藤本が笑顔で言う。

『「次にDF」
 「里田まい コンサドーレ札幌 背番号6」
 「木村麻美 コンサドーレ札幌 背番号5」
 「大谷雅恵 コンサドーレ札幌 背番号7」
 「紺野あさ美 コンサドーレ札幌 背番号4」』

「やったー」
テレビを緊張の思いで見ていた紺野が飛び跳ねて喜んだ。
「ほら、言ったじゃないですか、4人ともおめでとうございます」
藤本は立ちあがり頭を下げた。
みんなで喜んでいる間にテレビでは発表が続いていた。

『「藤本美貴 コンサドーレ札幌 背番号19」
「以上5名」』

「いま藤本って言わなかったか」
大谷がテレビの方を向き言った。
「言ったよ。美貴ちゃんおめでとう」
紺野は自分のように喜んでいる。
「わたしも選ばれたの」
藤本は信じられないといった顔をしている。
「皆、気合入れて頑張っていこう」
チームでキャプテンを努める麻美が元気良く声をあげた。
「おう」
他の4人も元気良く答えた。





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